ゲーム音楽おじさんがこの先生きのこるには

きのこるシリーズを書いてみたかったので書いてみる。

皆さんは「ゲーム音楽おじさん」をご存知だろうか?多分ご存じないだろう。要するに自分のような「ゲーム音楽ばっかり聴いているおじさん」のことで、自分がさっき定義したのでご存じないのは無理もないことだ。

先の記事で「S.S.T.BAND」「矩形波倶楽部」の再結成のことを書いたが、どちらも 1990 年前後のゲーム音楽ブームを支えた人気バンドだった。特に「矩形波倶楽部」については、2018 年の再結成まで音沙汰がなかったため、自分の中ではエライコッチャの大騒ぎであった。しかし、あの「矩形波倶楽部+國府田マリ子」の名を冠してもライブ会場が満席にならないという事実は、色々な事情はあっただろうが、あの「矩形波倶楽部」を知る身としてはなかなかショックであった。大げさに書くと「ゲーム音楽おじさん」は希少種なのだと改めて気付かされた。

さて「ゲーム音楽おじさん」を一言で説明する。セガなら「アフターバーナー」「アウトラン」、ファルコムなら「イース」「ソーサリアン」を真っ先に挙げるようなタイプの人種のことです。しかし近年ではネット上でもほとんど観測されないため、私から絶滅危惧種に指定されている。感受性豊かな時代に聴いた古い曲を至高とするので、頑張って最近の流行り曲を聴いてみても、実際にプレイしていないゲームの音楽はどうしてもピンとこない。ゲーム音楽を一つの括りとして捉えて、プレイ経験の有無に関係なく、音楽の内容で聴く的な風潮もあるが、そこに適応しきれないので、緩やかに絶滅に向かっているのだ。

ここで「ゲーム音楽おじさん」を嘲笑するのは実に容易い。しかし、人生で初めて自力で好きなものを見つけた!という原体験を否定することはなかなか難しいものだ。これはゲーム音楽に限らずどのジャンルでも有り得る話で、そこを自分から否定することに意味はない。また、赤の他人から指摘するのも実に野暮な行為だ。若い頃は他人の趣味嗜好に口をだす機会も多いのだけど、大人になると基本的に放置されるので、若い頃よりも堂々と突き進むことができる。こうして「ゲーム音楽おじさん」はどうにか生き残ってきた。

最初に戻って「ゲーム音楽おじさんがこの先生きのこるには」という問いへの回答は「好きなものを好きなだけ聴いてよし、ただし他人に強制しない」となる。聞かれてもないのに「イース」「ソーサリアン」を語り始めてアドバイス罪で起訴されたくないなら、どうかこれを守り続けて欲しい。なおこれを読んでいる若い皆さん(がいるとは思えないが)においては、貴方方も将来ほぼ確実に同じ状況に陥るけど気にせずに今は好きなことをしてくださいませ。