ケータイ契約移行メモ(完了)

ある日、親(わりと高齢)から「スマホを契約したい」という電話を受ける。その後の闘いを淡々と記録する。

前提

  • 主役は親のケータイ(中身は 4G 対応ガラホ。さすがに 3G ではなかった)
  • 親について
    • 実家まで筆者の自宅から片道2時間くらいかかる
    • とある理由で最近大手術をしたため、一人で車を運転するのは厳しい
    • 昭和の人なのでスマホってなに?状態

親の希望

  • ドコモのガラホが動かなくなったのでなんとかしたい
    • 最初はスマホが欲しいという話だったが、よくよく聞いてみたら電話ができればなんでも良いとのことだった
    • 緊急時につながる端末が欲しいとのこと
  • 料金が高いのでなんとかしたい(2,000 円/月 程度)
    • 親は通話もネットもほとんどしない
    • 筆者は MVNO なので 1,000 円/月 くらいという話をしたら喰い付かれた(作戦ミス)

想定ゴール

  • ガラホを動作するようにする
    • 動作しなかった場合は別の端末に移行する
  • 料金対策としてドコモを解約して MVNO に移行する
  • 電話番号は極力変えない
    • 親からは変わってもいいと言われたが、けっこうな高齢なため、今から変えるのは忍びない(今の番号を暗唱できるほど同じ番号を長く使っている)

やったこと

動かないガラホの検証

ガラホ本体の問題なのか SIM の問題なのかを切り分ける。

  • 現象の確認
    • アンテナが一切立ってない
  • とりあえず SIM を指し直してみる
    • アンテナが立たない

ここで仮説を立ててみる。

後者はなかなか考えにくいだろうが、実は最近筆者の SIM が壊れてひどい目にあったので候補に入れた。結果的には、SIM の差し直しではアンテナが立たなかったので、この時点では必然的にガラホ側の故障を疑った。

ガラホの修理方法

2パターンある。

  • Web からドコモに修理依をして端末を送りつける
  • ドコモショップに持っていく

前者はdアカウントが必要になるが、親は(案の定)dアカウントのことは覚えていないという。しかたないので後者を選択する。というか、実家にはガラホ以外のネットワークインフラがないため、ガラホ自体が壊れたら、必然的に後者を選択するしかないのも痛い。

ここで大きな壁になったのがドコモショップ。長いコロナ禍の影響のため、店頭での対応は基本的に予約が必要になっている(近年は緩和されているらしいが)。加えて、来店予約は基本的にはネットから行う必要があるが、ここでもdアカウントが必要になる。先に書いた通り、親のdアカウントは不明なので、この手段は採れない。実は、第三者(つまり俺)のdアカウントから予約する方法もあるが、何しろ実家が遠いため、タイムスケジューリングの設定難易度が高い。更に親はまともに車を運転できる状態ではないので、二人で店頭に赴くこともできない。筆者は免許を持っているが、親の車には親以外が運転する場合の任意保険に入っていないため、迂闊に運転はできない。ではどうすれば良いのか?答えは「委任状」である。委任状の効力は絶大であり、これがあれば、ほとんどの手続きが本人以外でも可能になる。

ということで、

  • 親に委任状を書いてもらう
  • ↑を持って筆者がドコモショップに行って修理依頼をする

という作戦に移行した。

委任状はドコモの HP から PDF をダウンロードできるので、それを印刷することになる。ちなみに、委任状は、近くのドコモショップに行って店員を捕まえて説明をすれば、PDF と同じものを貰うこともできる。まあ、ショップに寄って対応が違うかもしれないが、まず対応してもらえると思う。これを携えた上で、一旦実家に向かった。

実家にて

委任状は本人が書く必要がある。第三者が書けたら委任という概念が崩れるのでこれは当たり前のことだ。しかし、委任状というものは、所詮は紙切れなので、第三者が書くこともできるだろう。しかし、万が一にも、本人が契約したときの筆跡と見比べられたらマズイことになるので、オススメはしない。

親に逐一説明しながら、ガラホ本体の修理依頼を委任してもらった。なお、多くの手続きには、委任状に加えて、本人確認書類の「原本」が必要になる。つまり、本人確認書類が免許証しかない場合は、免許証自体を預からないといけないので、地味にハードルが高い。マイナンバーカードでもイケるが、親はマイナンバーカードを作っていないという(作れや!!という言葉は飲み込んだ)。

例外的に、本体の修理には本人証明の書類は必要がないので、とりあえずガラホと委任状を預かって、いったん自宅に戻った。

自宅にて

いざ、ドコモショップに赴かん!!その前に、念のため、預かったガラホをもう一度確認してみた。これは、

の切り分けにあたる。

前回の確認では思いつかなかったが、そもそも SIM が壊れているかどうかは、SIM を他の端末に入れてみれば良い。この検証には、SIM フリー端末が望ましい。ということで、とりあえず自分のスマホ(Android)に挿してみた。結果…なんとあっさりアンテナが立った。つまり、SIM は故障していないということが判明した。では本体の問題か??と、ガラホに差し直してみた。これまたあっさりアンテナが立った。つまり、ガラホも SIM も故障などしていなかったのだ。なんとアホらしいことか。。。

ということで、想定ゴールのうち、

がここで片付いた。残るは

  • ドコモを解約して MVNO に移行する
  • 電話番号は極力変えない

である。MNPMVNO へ移行できればベストということになる。更に、昨今のドコモ回線の品質の酷さを鑑みて、より選択肢を広げるため、

を想定ゴールに加えることにする。ガラホ端末の中身は Android なので、SIM ロック解除の上で適当な SIM を差せればゴールになるという寸法だ。

MVNO に移行するには

お約束として、キャリア(今回はドコモ)からの転出には、MNP 予約番号が必要になる。ドコモの場合、予約番号の発行方法は、例によってdアカウントを使うか、委任状を持ってドコモショップに行くかしかない。残念ながら、親に書いてもらった委任状は修理しか依頼していないので、もう一度実家に帰って、MNP 予約番号の発行の委任状を書いてもらわねばならない。ついでに、本体の SIM ロックの解除も委任状に追加してもらわないといけない。

以上の手順をまとめると、

  1. 親から本人確認書類とガラホを借りる
  2. 適当なドコモショップの来店予約をして店頭に行く
  3. SIM ロックの解除と MNP 予約番号の発行の依頼をする
  4. MNP 予約番号を使って MVNO の契約をする
  5. MVNO から届いた SIM をガラホに設定する(古いガラホなので当然 eSIM は使えない)
  6. 親に本人確認書類とガラホを返却する

という流れになる。あまりにもめんどくさいので、なんとか楽をできないかを考えた。鍵になるのはdアカウントである。色々と調べた結果、dアカウントさえ分かれば、SIM ロックの解除も MNP 予約番号の発行も、ドコモショップに行かずに完結できることがわかった。

dアカウントに限らず、世の中に数多に存在するアカウントなるものは、ID やパスワードを忘れる人がいるのが常であるので、当然ながら回復手段が用意されている。dアカウントの場合は、キャリアメールや「ネットワーク暗証番号」での認証が必要になり、接続している回線の種別によってパターンが変わる。このへんの説明はたいへんめんどくさいので割愛するが、仕組みとしてはとても💩だった。なお、アカウントの情報を正確に覚えている人にとっては、まったく壁にはならないことを補足しておく。

さておき、dアカウントを回復すべく、親から預かったガラホと粘り強く格闘した結果、なんとかdアカウント自体は使えるようになったのだが、最後の壁となったのが「ネットワーク暗証番号」だった。これは、ガラホ契約時に本人が設定するもので、重要な手続きの最終段階で要求される。そして、何度か間違えるとロックが掛かる。この時点でお察しかもしれないが、あれこれ試した結果、ロックが掛かってしまった。ここで、親の端末を預かって勝手にあれこれ試すのは良いのか?というツッコミはあるだろうが、親自身が何もできない以上、自分が親につきっきりであれこれ指示を出しながらやらせるのと結果的には何ら変わらないことは容易に想像できるので勘弁して欲しい。

「ネットワーク暗証番号」にロックが掛かった場合、解除するためには、

という手段が必要になる。どれも大変めんどくさいのだが、今回は、手続きコストを抑えるため、とりあえず本人にドコモに電話してもらう方法を採った。親には自宅の電話越しに長々と説明し、暗証番号が届いたら連絡してくれ、と伝えた。

後日、なんとか手続きできた、という連絡を親から受けた。これで「ネットワーク暗証番号」さえ入手できれば勝利である。なお、ここでもちょっとした問題が発生したのだが、バカバカしいので割愛する。

MNP 先について

ガラホを使いつつ、ほとんど電話をしない(待受が基本)な場合、安く済ませるには povo が望ましい。povo はスマホアプリによるトッピング操作が必要なので、回線を筆者の名義にしてトッピング操作をすることで、たいへん安く済ませられるという算段である。しかし、MNP というのは、基本的には転出元と転入先の名義が一致している必要がある。つまり、povo の契約とトッピング操作を本人にやらせねばならない。それは難しいので、MNP しつつ名義を変えられる業者を選定する必要がある。これは、IIJmio なら可能ということが判明した。なお、名義変更は JCOM でも可能だが、こちらは親と同居しているという条件があり断念した。

理想的には、

ドコモ→IIJmioMNP(名義変更)→povo に MNP

になる。ちなみに、IIJmio の場合は、MNP と同時に名義変更したとしても、SIM は名義変更元の住所に届くので、「MNP するとき」「実家に SIM が届いたとき」の作業が必要になるため、あと2回は実家に戻らなければならず、大変面倒である。筆者自身は全く得をしない、苦痛な作業である。

まだ道半ばであるが、すべてはドコモの「ネットワーク暗証番号」が必要であり、そこがコケるとすべてコケるのが辛いところだ。

ネットワーク暗証番号のゆくえ

親にドコモに連絡させた結果、比較的スムースに「ネットワーク暗証番号」は確認できた。これで晴れてdアカウントを操作し放題になった。ということで、

  • ガラホの SIM ロックの解除
  • 料金プランの変更 ★
  • MNP 予約番号の発行

について、ドコモショップに行くこともなく手続きが可能となる。しかし、ここまでの手続きの中で、少し罠があった。

指定外デバイス通信料金

なぜ★をすることになったか?それは「指定外デバイス通信料金」が発生してしまったことにある。この料金については、下記のブログを参照されたい。

king.mineo.jp

簡単に書くと、昔々、データ通信量が死ぬほど高かった時代、各キャリアは色々な縛りをつけることで、比較的安い(と言っても今からは比べ物にならないくらいの高さだったが)料金プランを提供していた。しかしながら、一部の素行の悪い連中(とあえて書く)のせいで「契約した端末以外の端末に SIM を差して、1バイトでもデータ通信をすると、いきなり 4200 円もの『指定外デバイス通信料金』が発生する」ことになった。実にバカバカしい仕組みだが、当時はこういうのがないと、キャリアが損をする仕組みだったのだと思う。

dアカウントを操作できるようになり、毎月の料金も閲覧できるようになったので、そちらを確認してみたところ、「指定外デバイス通信料金」が課せられていることに気づいたという次第だ。まったくバカバカしい話なのだが、このような前時代的な料金プランがまだ継続していたことと、我々のような普通に使用している身には全然関係ないペナルティ代が、10年越しくらいで課せられたことに、もう心底うんざりしてしまい、今後ドコモに一銭たりたりとも儲けさせまいと心に誓ったのだった。

なお、「指定外デバイス通信料金」が発生する旧プランから新プランに移行することで、たとえ移行が月の途中であっても、月初に遡って再計算されるという仕組みになっており、先のブログ記事の通り、無事に回避することができた。ただし、気づくのが遅れたため、一ヶ月分は損をすることになってしまった。これは親に払ってもらうしかないが、まったく腹ただしいことこの上ない。

MNP

ガラホの SIM ロックを解除したため、他社の SIM を挿せるようになった。こうなればやることは一つ、MNP である。一刻も早くドコモ経済圏から離れなければならない。

MNP 先については、当初想定の

ドコモ→IIJmioMNP(名義変更)→povo に MNP

↑これは諦めて、

ドコモ→povo に MNP(名義はそのまま)

↑にした。この場合、名義が変わらないため、料金も親が払い続けることになる。ただし、povo はすべてスマホアプリから操作する必要があるため、そちらは自分が代行することになる。

povo の申込みは、本人証明の書類以外に、クレカ番号の入力や本人の写真撮影などが必要なため、再び実家に戻って申し込んだ。SIM は親の家に届くため、もう一往復するのか…と思ったが、以下の手順を経ればその必要がないということに気づいた。

  1. 親の家に povo の SIM が届いたら、ガラホと一緒に筆者の自宅に送ってもらう
  2. 著者が SIM の開通手続きを代行し、ガラホに SIM を差し直す
  3. ガラホを親の家に送り返す

以上を持って、無事に契約移行は完了した。これにて一件落着!!!はーつかれた。。